おはようございます、あっきーです。
今回はショーン・スティーブン著、花塚恵訳の『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』(ダイヤモンド社)の書評を書きたいと思います。
この本、買って読んだのは去年(2017年)なんですが、最近もう一度読んで、いろいろと疑問に思ったことがあるので今回書評を書いてみようと思います。
この本は結構ボロボロになるまで読み返しました。
目次
・良かった点、参考になった点
・悪かった点
・「マグネシウムは皮膚から吸収されない?」
・「子供の近視の原因は、睡眠中に部屋に明るいことが関係ないんじゃない?」
・「スマートフォンを寝室に持ち込まないほうがいい?」
・「寝る姿勢の話って著者の主観なんじゃない?」
・「水を朝飲むと良いと言うのも著者の主観では?」
・「歴史が証明していることは効果あるの?」
・「メラトニンに本当にそんなに効果があるの?」
・「まとめ」
良かった点、参考になった点
去年はこの本を読んでいろいろなことを実践してみました。
例えば、
・「太陽光浴びると、セロトニンが分泌される」、「運動すると、睡眠の質が良くなる」ということなので、朝15分ほど外を歩いてみた。
・「スマホのブルーライトが、睡眠の質を下げる」ということなので、スマホを夜に使わないようにする。
・「カフェインの体内での半減期は5時間から8時間」ということなので、コーヒーを午後2時以降は飲まないようにする。
・「皮膚にも光を感じる受容体があり、皮膚に光が当たることで睡眠の質が下がる」ということなので、遮光カーテンをしっかり閉めたり、他の部屋からの光を断つ。
・「マグネシウムは睡眠の質を上げるけれど、サプリメントでは吸収されにくいので、マグネシウムオイルを体に塗って皮膚から吸収すると良い」ということなので、アマゾンでマグネシウムを注文して体に塗って寝てみた。
・「朝に水を飲むと体内の洗い流しになる」ということなので、朝起きたら水を飲んでみた。
など、本書に書かれている内容をいろいろ試してみました。
他にも、本書の特徴のある点としては、
・寝るときの姿勢
・腸内細菌
など、睡眠に関する様々なことをについて書かれており、30冊ほど睡眠の本を読んできたんですけれども、その他の睡眠の本にはない情報量があるという点です。
ですので、初めて読んだときに「これこそ睡眠の百科事典だ!」と思っていたのですが、最近読んでみて「う〜ん、ちょっと違うなぁ」と思いました。
以上が試してみたことや、本書の良かった点です。
悪かった点
で、最近読んで気になったことは、「本書には、参考文献が書かれていない」ということです。
原著には参考文献が書かれているんですかな?
それなら、参考文献を載せて欲しかったなと思いました。
参考文献が書かれていないことで、色々と疑問になるところが今回読み返してみて思いました。
以下に書いていこうと思います。
「マグネシウムは皮膚から吸収されない?」
マグネシウムが体に塗っても吸収されないという話を最近、あるブログで読みました。
それだったら、マグネシウムオイルを体に塗っても吸収されないから、睡眠の質は変わらないんじゃないか?という話になります。
それだったら、ただ単にマグネシウムオイルを塗って背中がちょっと痛いなって思っただけだったなとなります。残念。
「子供の近視の原因は、睡眠中に部屋が明るいことは関係ないんじゃない?」
そして、「部屋を真っ暗にしたほうがいいよ」という話で使われている実験の1つで、以下のように書かれていました。
『 豆電球と言えば、フィラデルフィアにあるペンシルベニア大学シェイエ眼科研究所の研究チームが、小さな豆電球1つでも子供の近視が進む一因となり、大人になってから深刻な視覚障害を招く恐れがあると発表した。彼らは2歳未満の子供479人を3つのグループに分けた。真っ暗の中で寝る子ども、豆電球が1つついた状態で寝る子ども、電気をつけた状態で寝る子どもだ。その結果は恐ろしいものだった。
真っ暗の中で寝た場合、将来的に近視になった子どもが10%だったが、豆電球の部屋で寝た子どもは34%、電気をつけた部屋で寝た子どもに至っては55%が近視になったのだ。』
この研究なんですけれど、因果関係と相関関係を履き違えているんじゃないかという話の代表例でよく出てくる内容なんですよね。
どういうことかというと、まず『3つのグループに分けた』とありますが、これは多分、家庭を調査して、夜に部屋の電気をつけているかどうかを確かめたのでしょう。
そして、親が近視だと、子どもも遺伝で近視になるそうです。
また、親が近視の場合、子どもをよく見るために電気をつけて寝ている。子どもは遺伝で近視になる。
だから、調査をしてみると、部屋に電気がついているかどうかと子供の近視は相関関係があるということになります。
よく実験の世界だと、相関関係はわかっても因果関係はわからないという話があります。
この実験は、ただの相関関係を因果関係だと解釈したみたいですね。
実はこの話は、(まぁ、誰が書いたか分からないと言う点で信頼性は低いですが)ウィキペディアにも書かれている内容になっています。
それなのに、この話を出しておいて、否定的な見解を書いていないのは本書を少し疑問に思う点であります。
「スマートフォンは寝室に持ち込まない方がいい?」
「寝室にスマートフォンを持ち込まないようにしよう」という話のところなんですけれども、ここに書いてある研究の内容が携帯電話って言葉使っているんですよね。
最近、「電車内では優先座席では携帯電話を使うな」ということが「スマートフォンを混雑しているときは使わないようにね」と変わりました。これは、どうしてかというと、携帯電話はスマートフォンよりも発生する電磁波が大きいらしくて、それはペースメーカーに影響与えるらしいけれど、最近のスマートフォンは身体に近づけないとペースメーカーに影響与えるほど電磁波が大きくないということが分かったから、という背景があります。
だから、ここの研究で使われている携帯電話はスマートフォンよりも大きな電磁波が出ているため、睡眠の質に影響与えているのかなと思うのです。
寝室にスマートフォンを入れるというのは睡眠の質を下げるのかどうかっていうのはこの研究だとちょっと分からないんじゃないかなーかなと思いました。
まぁ私自身が、スマホの睡眠アプリを使っているため、スマホをいつも枕元に置いているから、ちょっとここが気になったという感じです。
「寝る姿勢の話って著者の主観なんじゃない?」
そして寝る姿勢が書いてあるのもとても良い内容だなと思っていたんですけれども、
『専門家にどういう姿勢で寝るのが理想かと尋ねると、仰向けで寝るのが良いと言う答えが大半だろう。』
これは専門家は実際に行ってるかどうかわかんないっていうことかな?
その後にいろいろと仰向けのメリットが書いてあるんですけども、何か研究があるとかっていう話じゃなくて羅列している感じなのでほんとにこういう効果があるのかということにちょっと疑問を感じました。
「水を朝飲むと良いというのも著者の主観では?」
あと、「朝起きたら水を1、2杯飲む」と言う話も研究の話がないなーと。
実際に本書には載っていなかったのですが、水を1、2杯飲むことにメリットはあるという研究はあるのですが、本書では
『個人的には「体内の洗い流し』だと思っている』
と書いてあり、その前後にも研究の話はないので、科学的ではないなぁと思いましたね。
「歴史が証明していることは効果あるの?」
そして気になったところがもう一つ。
『マッサージの効果は歴史が証明している』
と書いてありますが、歴史が証明してるって本当?
私自身が東洋医学をあまり信じていないので、歴史は信じたくないなという感じもあります。
研究の話もちょろっと書かれていますが、どこから引っぱって来たのか不明ですね。
「メラトニンに本当にそんなに効果あるの?」
そしてメラトニンの効果を箇条書きで書いてあるページもありました。
参考文献がないので、ほんとにそんな効果があるのかというと疑問に感じました。
「まとめ」
こんな感じで参考文献が書かれていないことに、ちょっと、いや、とても気になりました。
そんなに研究を気にしないぞ!という人には、睡眠の百科事典になると思うので、おすすめです。