読書ノートには何を書けばいいの?という疑問に答えてくれるメタ分析の論文があったよー

2018年10月24日水曜日

読書術 論文

t f B! P L
こんにちは。
書評ブロガーのあっきー(@AKKI_BOOK)です。

「読書ノートって何を書いたらいいの?」に答える論文が出ていました!
今回はその内容を紹介します。

この論文は、2010年に106件の読書術に関する論文をメタ分析した論文(1)になっています。
メタ分析の論文とは、今まで出た論文の結果をまとめた論文で、信頼性が高いと言われている論文です。

そして、その結果はこんな感じ。

表1「読書の研究内容とその効果」

図1「読書の研究内容とその効果。論文(1)より引用」

図は書く技術がなかったので、引用しました…。

数字は「どれだけ効果があったか」を表しており、0.20だと小さな効果あり、0.50は中くらいの効果あり、0.80は大きな効果がありという感じ。
また、Norm-referenced testsとResearcher-designed tests(ここではNRT、 RDTと書くことにします。)というのは、実験の測定の違いらしく、NRTのが低く出てしまうものらしいです。

これからパッと見てわかることは、思ったことを書いたり、文の構造を教えられると読む能力が伸びるみたいですね。


では、それぞれの項目について見ていきます。

1. 読んだ内容について自由に書く

読んだ内容を自由に書くことはNRTだと0.40、RDTだと0.51の効果がありました。

特に、成績の低い学生に書き方を教えたときに効果があったそうです。
逆に、書き方を教えなかったときは効果がマイナスになってしまいました。

テキストについて書くことは、ただ読むこと、読み直すこと、読んで勉強すること、読んで討論すること、読み方を習うことより効果的だそうです。

以下の4つの結果は「読んだ内容を自由に書く」のではなく、書く内容を指定した場合の研究のまとめです。

(1)思ったこと(感想、分析・解釈)を書く

テキストを読んで、感想や関連する経験を書いたり、小説の人物や資料を分析や解釈をすることは0.77の効果がありました。

実験としては、
・小説の登場人物はなぜ、その行動をしたのか?同じ状況のとき、自分だったらどう行動するか?の質問に答えさせる。
・産業革命の文を読み、産業が成長することが大事な理由を3つ挙げ、選んだ理由を答えさせる。
のような実験があったそうです。

この方法は、単にテキストを読むこと、再読すること、読んで勉強すること、読んで議論すること、読み方を習うよりも大きな理解力をもたらしました。 

先の研究と比較すると、読んだ内容を書くより、一歩踏み込んで自分の思ったことも書くとよりよいということですね。
まあ、確かに考えるためには、より本の内容を理解しておく必要がいるし、納得の結果かな。

(2)要約を書く

要約を書いた場合、小・中・高を合わせたときの効果は0.52でした。
小学生だけだと、その効果は0.79、
中学生、高校生のグループは0.33という結果だそうです。

低い年齢には特に効果が高いということですね。

大学入試の模試で現代文の偏差値が65.0を取れたのは、要約を書く練習してたからかもしれない(突然の自慢)。

要約は前の記事(「本の内容を理解できて覚えられる6つの方法を紹介!」)でも説明したように、どこが大事かを判断しないといけないので、読む技術を上げるのでしょうね。

(3)読んだ内容をノートに取る

読んだ内容をノートに取る効果は0.47でした。

どんな実験があったかというと、
・ノートを取って、テキストの概要を作成する。
・重要なアイデア、詳細、概念、語彙間の関係をテキストで示した図表を作成する。
・テキストについてのメモをとり、これらのメモを主なアイデア、詳細、および質問に関連する異なる列に分ける。
などがあったそうです。

ノートを取ることは、単にテキストを読むこと、再読すること、読んで勉強すること、読んで大事な情報に線を引くこと、読み方を習うことよりもより良いことがわかったそうです。

私が良くする読書ノートの書き方がこれです。情報をノートに写すだけ。
もっと効果を出すには、先に書いた研究のように自分の考えを書いた方が良さそうですね。

(4)質問に答える

質問に答える効果は0.27でした。

実験の例としては、
・4つの質問に答えさせる。
・良い質問と悪い質問の違いを教え、自分で質問を作り、それに答えさせる。
と、いった感じで、用意させた質問に答えたり、自分で作った質問に答えるという実験があったそうです。

2. 書く方法を教える

書く方法を教えることで文の構造もわかるから読む能力も上がるだろう、ということで書く方法を教えた研究もメタ分析してありました。

書く方法を教えたとき、NRTでは0.18、RDTでは0.27の効果だそうです。

さらに、教える内容ごとに2つに分けて、メタ分析がされています。

(1)文の構成を教える

文の構成を教えることで、正確に速く読む能力に0.79の効果がありました。

なかなか人に本の文章の構造を教えてもらうことは少なそうですが、これは読書術を解説している本を読むことで補えそうですね。

ちなみに、読書術の本は30冊ほど読みましたけれど、樺沢紫苑先生の『忘れない読書術』(サンマーク出版)や齋藤孝先生の本(『読書の全技術』など)がおすすめです。
話題になっている『東大読書』も読みやすかったなあ。

(2)言葉を教える

言葉を教えることで、読む技術の向上に0.68の効果があるそうです。

確かに、語彙があるとより理解できますよね。

3. 文章を書く

文章を書くことで、0.30の効果がありました。

・自分が選択したトピックまたは仲間と共同して選択したトピックについて書く
・推測の言葉を使って短いパッセージを書く。
などの研究があったそうです。

ある本で、「本を出すと読み方が変わる!」のような言葉がありましたが、それは本をより理解できるということだという意味なのかな。
本ではなくて、ブログを書いていても効果がありそう。

まとめ

まとめということで、もう一度、表を載せておきます。
表1「読書の研究内容とその効果」

以上の結果から、ただ読むよりは読書ノートを書いた方がより理解ができるということがはっきりとわかると思います。

また、書くとしたら自分の分析や解釈を書くとより効果は得られそうです。
他にも、読書術の本を読んだり、その分野の用語を頭に入れるとより理解できそうです。
ブログを書くことも効果があるらしいというのはうれしい。

以前書いた「本の内容を理解できて覚えられる6つの方法を紹介!」も読書に関する論文を紹介していますので、あわせて読むことをおすすめです。

それでは。


P.S.
間違いや疑問に思うことがありましたら、ツイッターで話しかけてください。
よろしくおねがいします。

自己紹介

あっきー

大学4年間で1,000冊読了。このブログでは、心理学、生き物などのオススメ本について紹介していきます。

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