エビングハウスの忘却曲線から分かる3つのこと

2018年11月12日月曜日

考察 勉強法

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前回の記事は記憶の分類についてまとめました。
今回はエビングハウスの忘却曲線から分かることをまとめたいと思います。


目次

エビングハウスはどんな実験を行ったのか?
1. 覚えたことは忘れる。
2. たくさん覚えると忘れやすい。
3. 復習をすると忘れにくくなる。
まとめ
参考文献




エビングハウスはどんな実験を行ったのか?


無意味語(単語自体に意味がない単語。たとえば、「たけて」「ぶうば」など)を覚え、20分後、1時間後、1日後のように時間をあけて、覚え直すのにどのくらいの時間がかかるのか測りました。


1. 覚えたことは忘れる。


その曲線は以下のようになります。

この曲線を「(エビングハウスの)忘却曲線」といいます。
この図の読み方を説明します。
たとえば、はじめに10個の単語を覚えるのに10分かかったとします。20分後にはその10個の単語のうちいくつかを忘れているでしょう。ですので、20分後にその10個の単語を覚え直します。覚え直すのに8分かかったとすると、8÷10=0.8となり、80%の時間が節約できたことになります。この節約できた割合を節約率と呼び、その節約率が縦軸になっております。

この曲線から、「覚えた直後は急激に忘れて行き、時間が経つほど忘れる速度は緩やかになっていく」ことがわかります。


2. たくさん覚えると忘れやすい。


この忘却曲線は覚える数によって曲線の形を変えます。
5個の単語を覚えたときに比べ、10個の単語を覚えたときの方が、覚えた直後はより急激に単語を忘れていきます。

たとえば、5個のときは1時間後には3個(全体の6割)を覚えていたのに、10個のときは1時間後に4個(全体の4割)を覚えているという現象が起こります。
このように、同じタイミングで多くのことを覚えたり、似たようなことを不用意に覚えると記憶が混乱してしまいます。その結果、より忘れやすくなったり、間違えやすくなったりします。
(ちなみに、新しい情報が古い記憶に影響を与えることを心理学の用語で「記憶の干渉」といいます。)


3. 復習をすると忘れにくくなる。


では、忘れてしまうにはどうしたらいいのか?
それは、復習をすることです。
1日後、1週間後に復習をすることで、忘却曲線は書き換えられ、覚えた直後に忘れる速度が緩やかになっていきます。


まとめ


忘却曲線から、「覚えたことは忘れるから、復習をして、忘れにくくしよう」ということが言えます。まあ、当たり前のことですね。
当たり前ですけれど、エビングハウスの忘却曲線は有名な研究で、ほとんどの勉強法の本で紹介されていることなので、覚えておいて損はないでしょう。

また、この単語を忘れる速度は人によって違いがなかったとのことです。つまり、「私は記憶力が悪い」と思っているのはカン違いで、効率の悪い覚え方をしているので覚えられないと言えます。
実は、このエビングハウスの忘却曲線の実験で、「無意味語を覚えた」ということに注目すると新たな事実が見えてきます。


参考文献


池谷裕二(2011)『受験脳の作り方 脳科学で考える効率的学習法』新潮社
(今回の図は本書↑から引用しました。)
児玉光雄(2015)『勉強の技術 すべての努力を成果に変える科学的学習の極意』SBクリエイティブ

自己紹介

あっきー

大学4年間で1,000冊読了。このブログでは、心理学、生き物などのオススメ本について紹介していきます。

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