ふせんが久しぶりにこの量になるほど面白い内容でした。
私たちは何かをしようとするとき、豊富なリソース(人材や知識・情報など)があればあるほど成功すると考えています。
しかし、そんなに多くのリソースを持っていない人や組織が成功していることもあります。
彼らはどのような工夫をしているのか?
また、どのようなマインドセットを持っているのか?
著者はその問いへの答えを考え続けてきました。
本書はその答えとなる内容がまとめられています。
今回の記事は本書の大まかな内容を各章ごとに紹介していきます。
第1章 ふたつのビール会社の物語
本章は導入部分です。
それとともに、ここから先の話でよく出てくるので覚えておかないといけない用語の定義づけをしています。
チェイシングとストレッチという言葉が出てきます。
チェイシングとは、絶えず何かを追い求める考え方のです。
チェイシングに依存しがちな人をチェイサーといいます。
チェイサーにとって大事なのは資源の獲得で、これが成果のつながると考えています。
ストレッチとは、資源の優れた活用をする考え方です。
ストレッチの実践家をストレッチャーといいます。
ストレッチャーは、資源の優れた活用が優れた成果につながると考えています。
第2章 隣の芝生はなぜ青い?――リソースを追い求める「4つの要因」と「弊害」
本章はチェイサーの考え方が4つに分けることができるとし、それぞれの紹介をしています。
その4つとは、
- 上方社会的比較
- 機能的固着
- 無差別な消費
- 資源の浪費
自分より優れている者と比較することを「上方社会的比較」と呼びます。
上方社会的比較により、創意工夫によって達成できる多くの成果がパーになってしまいます。
「機能的固着」とは「資源の使い方は特定の方法に限られている」と思い込むことです。
ペーパークリップは紙を束ねるものですが、ピアスにしたりスマホ立てにすることもできますが、通常通りの使い方に慣れるとなかなか思い浮かびません。
歳を取るほど様々なモノの使い方を知ってしまうので、一般的な使い方以外の使い道が思いつかなくなります。
できるだけ資源を集めようとすること(「無差別な収集」)で、集めること自体が目的になってしまいます。
これを防ぐには、「何が本当にしたいのか」を問う必要があります。
人や資源が豊富だと、相応の理由がなくてもそれを使わなければならなくなります。
すると、不要な人材を雇い、資源を使うために必要のないことを始めたり、止め時がわからなくなります。(「資源の浪費」)
第3章 万物に美点あり――ストレッチの「4つの要素」と「メリット」
第2章はチェイサーの4つのマインドの話でした。
第4章はストレッチャーの4つのマインドの話です。
4つは、
- 心理的オーナーシップ
- 制約
- 質素倹約
- 価値を見出す
です。
「心理的オーナーシップ」とは、「自分ごと」と思うことです。
たとえ文字通り資源を所有していなくても、それが自分のものだと思うことで手持ちの資源を幅広く活用できるようになります。
「制約」は創造性を高めます。
人は資源がたくさんあると、従来のままのやり方で利用します。
しかし、資源が少ないときは、従来の方法から抜け出してもっと自由に発想するようになるからです。
「質素倹約」をする人には3つの共通するパターンがあります。
- 目先の楽しみよりも長期的な目標を重視し、我慢強さを備えていること。
- 次々とモノを買う代わりに、手持ちの資源を再利用している。
- 慣習に囚われず、チェイシングにつながる社会的比較の影響を受けにくい傾向がある。
また、ストレッチャーは価値が低そうなものに価値を見出すことができます。
いずれの特徴も「手持ちのリソースを有効活用する」という考え方が根底にあります。
全て書くと多くなるので、とりあえずここまでです。
今回紹介した本
スコット・ソネンシェイン『ストレッチ 少ないリソースで思わぬ成果を出す方法』(海と月社、2018)