マンボウは一回の産卵で3億個の卵を産み、その中で生き残るのは2匹だけと言われます。
でも、この話は『マンボウのひみつ』(澤井悦郎、岩波出版、2017)という本によると間違っているそうです。
本書の著者はこの情報を原典までさかのぼって調べてくれました。
マンボウが3億個も卵を産むかどうかはわからない
どうして「マンボウは3億個も卵を産む」といわれているのでしょうか?
この情報源はうなぎを研究していたヨハネス・シュミットが1921年にネイチャーで発表した論文にあります。
その論文の中には
どうやらこの一文だけでマンボウは卵を3億個も産むということが広まったらしいのですが、この文ではわからないことがいくつかあります。
この情報源はうなぎを研究していたヨハネス・シュミットが1921年にネイチャーで発表した論文にあります。
その論文の中には
1+1/2メートル(1.5メートルか1.3メートル)のマンボウの卵巣には3億個以上の小さな未成熟卵が含まれているのを発見した。という一文が書かれています。
どうやらこの一文だけでマンボウは卵を3億個も産むということが広まったらしいのですが、この文ではわからないことがいくつかあります。
- 3億個というのは推定値
- マンボウに3億個の未成熟卵があるとは書かれているが、産むとは書かれていない
- 推定方法がこの一文では不明なので、どのように3億個と推定したのかわからない
また、分かることは
- 1匹のマンボウが3億個の卵巣卵を持っていた
ということです。
本当に2匹しか生き残れないのか?
「産まれたマンボウは2匹だけ生き残る」という情報もその論文には書かれていません。
というかどうやって3億匹を観察し続けて2匹だけ生き残ったと判定するのでしょうね。
冒頭に紹介した本の著者は、このように伝わっていることを、「2匹しか生き残れないというのは少なくとも雄雌のペアが生き残れば次世代の命をつなぐことができる」という意味だと解釈しています。
(残念なのは生き物ではなく本だったという…。)
ちゃんと情報を精査してほしいという憤りが隠せません。
Twitterでも「マンボウ」と検索をかけると3億個産む3億個産むというツイートが多くて多くて…。
「間違ってるよ!」という情報が広まるといいなぁと非常に思います。
というかどうやって3億匹を観察し続けて2匹だけ生き残ったと判定するのでしょうね。
冒頭に紹介した本の著者は、このように伝わっていることを、「2匹しか生き残れないというのは少なくとも雄雌のペアが生き残れば次世代の命をつなぐことができる」という意味だと解釈しています。
感想
実は、この「マンボウは3億個も卵を産む」というのは、アニメ化もされた『ざんねんないきもの事典』にも3億個の卵を産むと書かれています。(残念なのは生き物ではなく本だったという…。)
ちゃんと情報を精査してほしいという憤りが隠せません。
Twitterでも「マンボウ」と検索をかけると3億個産む3億個産むというツイートが多くて多くて…。
「間違ってるよ!」という情報が広まるといいなぁと非常に思います。