「農耕」と「性病」が一夫一婦制の根底にあった『不倫』

2019年2月13日水曜日

本の紹介(1冊)

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『不倫』(中野信子、文藝春秋、2018)を読んだので書評をします。

著者紹介

著者の中野信子さんは脳科学者で、テレビにもよくご出演されている方です。
著書はたくさんあります。その中でも『サイコパス』はベストセラーになったので、知っている方は多いのではないでしょうか?

本の内容

本書の内容は、一言で言うと、不倫について脳科学的な視点から分析をしている本です。

第1章は「人類に一夫一婦制は向いていない」という章名で、生物学的、歴史的に人類は一夫一婦は向いていないということを説いています。

第2章は「不倫遺伝子」という遺伝子を持っている人の脳ではどのような点で持っていない人と異なっているのか、脳科学的な視点で話が進みます。

第3章は「安定型」「回避型」「不安型」という愛着スタイルがあることを示した後、それぞれの愛情の示し方や恋愛の仕方について書かれています。
この章は他の章よりも心理学の内容が含まれていると感じました。

第4章では社会に不利益をもたらす「フリーライダー」という存在を社会の構成員は排除しようとするので、不倫は他人のことでもバッシングをしてしまうということについて書かれています。
この章は中野信子さんの他の著書である『シャーデンフロイデ』に共通する内容でした。

第5章では不倫についての様々な考えが示されています。
例えば、不倫と結婚のどちらがいいのかとか、フランスでは婚外子を認めているだとかの話がありました。

おもしろかったところ

「農耕」と「性病」が一夫一婦制の根底にあった

カナダのウォータール大学のクリス・バウフ教授らの研究によると、農耕が始まる前は一夫多妻制だったそうです。
しかし、農耕が始まって、多くの人達で暮らすようになると、性病が流行りだし、それを抑えるために一夫一婦制になったということがシミュレーションからわかったそうです。

日本の寝かしつけの文化が「妬みスイッチ」を入りやすくさせている?

欧米の国では、親と子どもの部屋は別々ですが、日本では同じ部屋で子どもを親が寝かしつけています。
ですので、欧米では就寝前に深いスキンシップを必ずしも親子間でとる必要はありませんが、日本ではよく行われます。

この深いスキンシップを親子間で取ることで、オキシトシン受容体が増えます。オキシトシンは「大事な人のために何かをしてあげたい」という気持ちを持たせるホルモンで、人によって受容体の数が違うので、感受性が異なります。
日本では、深いスキンシップをすることで受容体の数が増えるので、この感受性が高まると思われます。
感受性が高まると、オキシトシンは内の集団には良い面で働くのですが、外の集団には悪い面が働くときがあります。それが妬みです。
日本人はオキシトシンの感受性が他国の人よりも高いので、ねたみやすいということになります。

感想

こういう話が好きでよく読むんですけれど、本書も他書には書かれていない内容が書かれていて勉強になりました。

参考文献にも多くの本が紹介されていたので、気になった本を読んでみようと思います。

今回紹介した本


自己紹介

あっきー

大学4年間で1,000冊読了。このブログでは、心理学、生き物などのオススメ本について紹介していきます。

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