『キリン解剖記』をさっきまで夢中になって読んでました。著者は郡司芽久さんという方で、1989年生まれの若手の研究者さんです。初めてキリンの解剖をしたのは19歳。それから10年間で30頭のキリンを解剖してきた「世界一キリンを解剖してきたかもしれない方」です。
本書の内容は、第一胸椎をキリンはさも頚椎のように使っているという発見を著者のキリン解剖の日記とともに書いています。つまり首に一番近い胸の骨を首の一部のように使っているということですね。
研究者しか知らないキリンや解剖のおもしろい雑学
本書に書かれていた中で、「これは研究者でないとわからないよなぁ」と思った、面白かったところを紹介していきます。
キリンの良いところ「解剖しやすい」
骨格標本を作るとき、きれいに作るポイントの一つに油があるそうです。
クジラは油が多いので、骨から油が抜けきらないので骨格標本を作るのに苦労するみたい。一方で、キリンは油が少なく骨からも油が抜けやすいので、骨格標本にしやすいそうです。
クジラは油が多いので、骨から油が抜けきらないので骨格標本を作るのに苦労するみたい。一方で、キリンは油が少なく骨からも油が抜けやすいので、骨格標本にしやすいそうです。
解体と解剖の違いとは?
さて、先ほど「解剖」という言葉を使いました。
実は「解剖」と「解体」、同じような言葉に見えて、違う意味の言葉だそうです。
「解体」は、骨を壊さなければ、皮膚や筋肉は下手に切ってもいい、筋肉を外すだけの作業。
実は「解剖」と「解体」、同じような言葉に見えて、違う意味の言葉だそうです。
「解体」は、骨を壊さなければ、皮膚や筋肉は下手に切ってもいい、筋肉を外すだけの作業。
一方、「解剖」は、筋肉の配置や筋繊維の走行を記録するような作業です。
解剖ができないと骨に細かい筋肉が残ってしまうらしいです。
ぼくも以前、鶏を解体したことがありました。
このときは、肉が骨にこびりついていて、その後苦労したので、次に解体するときは筋の繊維に沿ってちゃんと解剖しよう。
「解剖」と「解体」の意味を知れて、とてもいいことを聞いた気分です(笑)
ぼくも以前、鶏を解体したことがありました。
— BookTuber あっきー (@AKKI_BOOK) July 20, 2019
このときは、肉が骨にこびりついていて、その後苦労したので、次に解体するときは筋の繊維に沿ってちゃんと解剖しよう。
「解剖」と「解体」の意味を知れて、とてもいいことを聞いた気分です(笑)
日本のキリンの飼育数は、世界第2位
2011年の調査によると、アメリカは584頭、日本の飼育数は447頭で世界2位です。
日本多いですなー
ペンギンも北半球で一番いる国らしいので、日本って動物園・水族館に恵まれている場所なんじゃないかと思いました。
ペンギンも北半球で一番いる国らしいので、日本って動物園・水族館に恵まれている場所なんじゃないかと思いました。
始祖鳥みたいな死に方をするらしい
始祖鳥の化石を理科の教科書で見たことある人も多いはず。上の写真のような化石ですね。
うなじには項靭帯(こうじんたい)という靭帯があり、これがゴムのような弾力で受動的に収縮する力を持っているそう。
キリンは他の動物よりも立派な項靭帯を持っているので、常に首を引っ張り上げる力があるので、筋肉をあまり使わずに頭を持ち上げることができています。しかし、遺体の場合、横倒しになるので重力がかからない。そのため、首が項靭帯の力で反り上がってしまうそうです。
始祖鳥の死体のようなこのポーズは、デス・ポースと呼ばれています。
オカピはキリンに一番近い動物
キリンのツノは3本
頭上と2本と額の1本あるそうです。へー
額にツノがあるのは知らなかったです。
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個人的に刺さったところ
本書は個人的に刺さる言葉が多かったです。なので、ちょっとメモ。
解剖すればするほど、その動物のことが好きになっていく気がした。(45ページ引用)
わかる!
その動物のことを考えれば考えるほど、僕もその動物のことが好きになります。
心理学で「頭から引っ張り出しやすい・処理しやすい情報ほど、好きになる」という効果があることが知られているので、知っていることの多い動物ほど好きになるのは自然なことかも。
ゴキブリについての本もたくさん読んだので、ぼくはゴキブリも好きになりました。ゴキブリについては、4つ記事を書いたので、ゴキブリが好きになりたい方は、読んでみてください↓
その動物のことを考えれば考えるほど、僕もその動物のことが好きになります。
心理学で「頭から引っ張り出しやすい・処理しやすい情報ほど、好きになる」という効果があることが知られているので、知っていることの多い動物ほど好きになるのは自然なことかも。
ゴキブリについての本もたくさん読んだので、ぼくはゴキブリも好きになりました。ゴキブリについては、4つ記事を書いたので、ゴキブリが好きになりたい方は、読んでみてください↓
論文はタイムマシン
論文を読むと昔の人と対話ができるので、タイムマシンみたいなんですって。すてき
特に、解剖学は観察に基づく記載をベースにしているので、未来に残りやすい学問だそうです。実際に、著者は100年以上前に出版されている論文も読んでいると本書に書かれていました。
特に、解剖学は観察に基づく記載をベースにしているので、未来に残りやすい学問だそうです。実際に、著者は100年以上前に出版されている論文も読んでいると本書に書かれていました。
146pで川田伸一郎さん出てきた!
モグラ!知識は生活を豊かにし、目に留まるものに価値を与え、新たな気づきを生み、日常生活を輝かせてくれる。(引用)
たしかに!知ってること増えると毎日が輝いてきますよね。
知らない分野の本を読むと、その分野が好きになって、世界に好きが増えるのがうれしい✨— BookTuber あっきー (@AKKI_BOOK) November 4, 2019
今、蚊の本を読んでいるんだけど、前より蚊が好きになった
また世界に好きが増えたよ笑
次にキリンを見るときに注目したいなと思ったところ
動物園に行ったときにキリンのここを見たいなーと思ったところをメモしておきます。
このブログ読んでくださっている方も、次にキリンを見るときにここに注目すると面白いかも!
このブログ読んでくださっている方も、次にキリンを見るときにここに注目すると面白いかも!
水を飲んだ後、キリンはぼーっとしている姿を見たい!
キリンの血液事情は面白そうです。研究もいっぱいされているみたい。
キリンは高血圧だそうです。なぜなら、脳が離れているので、血圧を高くないと頭まで血が上らないからだとか。
あと、キリンは水を飲むだけで5mも頭の位置が変化します。そのため、頭を下げると血圧が高くなりますし、逆に頭を下げると血圧が下がります。このように、血圧の変化が激しくなってしまうのです。
それを支えるのが、ワンダーネットと呼ばれるキリンの後頭部にある網目状の毛細血管の塊です。これが、脳へいく血液が急激に増えないための緩衝装置になっています。
でも、このワンダーネットは、オカピやヤギ、ウシ、羊なども持っている構造だそうで、首の長いキリンだけではないそうです。
じゃあ、ワンダーネットだけでは、そんなに血圧の急激な変化を抑えられないんじゃないの?ってことで、2009年にこのことが研究されました。
結果では、頭の上げ下げで血圧は急激に変化していることが分かったそうです。
キリンは血圧の急激な変化を抑えるための変化をあまりしてきたわけではなかったんですね。
じゃあ、ワンダーネットだけでは、そんなに血圧の急激な変化を抑えられないんじゃないの?ってことで、2009年にこのことが研究されました。
結果では、頭の上げ下げで血圧は急激に変化していることが分かったそうです。
キリンは血圧の急激な変化を抑えるための変化をあまりしてきたわけではなかったんですね。
動物園でキリンを観察していると、水を飲んだ後、頭を上げ、遠くをぼーと眺めている様子を見かけることがあるそうで、それは普通に軽い貧血でぼーっとしているのかもしれないとのこと。
ぼくは、キリンが水を飲んだ後にぼーっとしている姿を見てみたいと思いました!
ぼくは、キリンが水を飲んだ後にぼーっとしている姿を見てみたいと思いました!
人間の立ち眩みみたいになっているんですかね?
キリンの胸のふくらみを見たい!
キリンの前肢は他の偶蹄類に比べて少し前にあると言われています。キリンの胸元を見てみると、お尻のような2つの膨らみが観察できるそうです。
実際に他の動物と胸のふくらみを比べてみたいと思いました!
キリンの種類を見分けたい!
最近になって、キリンには以下の4種類いることがわかってきました。- アミメキリン
- ミナミキリン
- キタキリン
- マサイキリン
日本では、アミメキリンとマサイキリンが動物園で飼われているそうです。
しかし、日本のアミメキリンの一部はキタキリンとの交雑個体の子孫もいるそうなので、キタキリンの特徴によく似たキリンも飼われているとのこと。
日本の動物園に行って、
- アミメキリン
- キタキリン
- マサイキリン
の区別をしてみたいなと思いました。あと、海外に行ってミナミキリンも写真に収めて、キリンをコンプリートしたいです。
ちなみにこの3種類と思われるキリンの画像がフリー画像で見つかったので、載せておきますね。
多分、アミメキリン。台形のきれいな模様が特徴です。
多分、キタキリン。アミメキリンに似ているけれど、模様の間隔がアミメキリンよりも広いです。
多分、マサイキリン。模様がギザギザしており、「X」とか「V」に見える模様があります。
詳しい見分け方は本書に載っているので、よかったら確認してみてください。
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『キリン解剖記』は研究者の生活を知れる一冊
本書は、研究者の約10年間の活動が記されています。キリンを解剖したことが淡々とつづられているのではなく、キリンを解剖したときの著者の思い、どう考えて研究しているのかを知ることができるので、特に研究者に興味のある方にオススメです。文章はユーモアがあり、まるで小説を読んでいる気分で久しぶりに夢中になって読んだ本なので、物語好きにもオススメできます。
今月始まったばかりですけど、今月読んだ本の中で一番おもしろいと思える本なので、良かったらぜひ手に取ってみてください。