『世界に「かゆい」がなくなる日』を読みました。
著者は内科医をしており、かゆみの研究もしています。
かゆみについて日ごろから疑問に思っていたことが分かり、かゆい所に手が届く本でした(笑)
今回は日常で使えそうなかゆみの原因と対処法について、本書の内容から紹介します。
目次
- かゆみが強まるサイクル
- かゆみのいくつかの原因
- かゆみを抑えるには?
かゆみが強まるサイクル
かゆみの原因と対処法の話の前に、かゆみが増幅するサイクルを紹介します。
イッチ・スクラッチ・サイクルと呼ばれる、かゆみが続いてしまうサイクルがあります。
まず、かゆみを感じてかいてしまうと表皮細胞が傷ついてしまいます。
掻くことにより表皮細胞が傷つくとサイトカインという物質が放出されます。
このサイトカインはマスト細胞を活性化して、かゆみの原因の1つとなるヒスタミンを分泌させます。
また、表皮細胞が傷つくことで炎症が起き、炎症が起きて皮膚炎が悪化する。
この
- ヒスタミンの分泌
- 皮膚炎の悪化
により、またかゆくなってしまうサイクルをイッチスクラッチサイクルと呼びます。
かゆみのいくつかの原因
このヒスタミンと呼ばれる物質は、マスト細胞(または肥満細胞)と呼ばれる細胞で作られます。
マスト細胞は皮膚だけでなく、鼻の粘膜、気管支など様々な組織に存在しています。
本書には、他にもかゆみの原因となる物質がいくつか紹介されていました。
その中には、セロトニンも紹介されていました。
へー、セロトニンもかゆみ物質の1つなのかー。
石鹸や洗剤を使った後にかゆくなった経験がありませんか。
実はヒスタミンと言うのは、マスト細胞以外では、表皮にある角質細胞でも産生されるそうです。
この角質細胞では、紫外線や界面活性剤の刺激によってヒスタミンが分泌されます。
界面活性剤は石鹸や化粧品の主成分です。
界面活性剤をよく使っていることで、表皮のケラチノサイトと言う細胞が活性化され、ヒスタミンを合成しやすくなります。
しかも、そのヒスタミンが放出される部分は、かゆみの受容体である自由神経終末が密集している場所なのだそうです。
以上のような原因で、石鹸を使うとかゆくなってしまう人がいるみたいです。
そして、乾燥肌もかゆくなる原因の1つです。
皮膚が乾燥すると、干からびた田んぼのようになります。
すると、角質層に隙間が出来やすくなり、外から異物が侵入しやすくなって、かゆみが生じるそうです。
かゆみを抑えるには?
まず、イッチ・スクラッチ・サイクルで書いたように、掻いてしまうと、より掻きたくなってしまいます。
なので、掻かないように我慢することがかゆみを抑える方法の一つとして考えられます。
次に、本書によると、保湿剤だけで抑まるかゆみは多いとのこと。
特に、冬は乾燥しがちなので、こまめに保湿剤をかゆくなりそうなところやかゆいところに塗るとよさそうですね。
そして、以前の記事(「蚊に刺された跡に爪でバッテン×をつけるのには、効果があった!」)でも紹介しましたが、かゆみの感覚よりも体を動かす感覚、痛み、熱さと冷たさの感覚の方が優先されて脳に届きます。
ですので、運動をしたり、かゆいところをつねったり、冷やすことでかゆみを抑えることができます。
また、痛みとかゆみは、何かに集中していることによっても抑制される傾向があるそうです。
かゆみを忘れるくらい瞑想とかテレビゲームに集中するといいかも。
以上から、かゆみを抑える方法をまとめると、
- 掻かないように我慢する。
- 保湿剤を塗る。
- 運動、痛み、熱さ、冷たさでかゆみを抑える。
- 集中する。
となります。
今回紹介した本
柿木隆介著、高森賢治監修(2017)『世界に「かゆい」がなくなる日』ナツメ社
本書を参考にして、ほかにも記事を書きました。
良ければ、そちらもご覧くださいな。
「嗅盲というものがあるらしい。」
「蚊に刺された跡に爪でバッテン×をつけるのには、効果があった!」
「ヒトとイヌの皮膚の違い」